「風が強くて釣りにならない」という日があります。 一方で「向かい風の日に大釣りした」という経験を持つ人もいるでしょう。 風は釣果にとってデメリットばかりではなく、風向きと釣り場の組み合わせによっては味方になることがあります。 ただし安全面は妥協できません。 まず風速と突風の目安を正しく押さえておきましょう。
風速の目安と釣りへの影響
風速の段階別の目安です。 天気予報の「風速」は10分間の平均風速です(気象庁の定義)。 かっこ内はおおよその風力階級(最後の行は予報用語)です。
- ▪0〜3m/s(風力0〜2)無風から、顔に風を感じる程度。波が立ちにくく釣りに最適です。ルアーの飛距離も最大限に出せます。
- ▪3〜5m/s(風力2〜3)軽く風を感じる程度で、釣りに支障はありません。ただし軽量ルアー(5g以下)は多少流されます。
- ▪5〜8m/s(風力3〜4)釣りがしにくくなります。ラインが風に流されてアタリが取りにくいため、重めの仕掛けが有利です。
- ▪8〜10m/s(風力5)キャストが困難になり、ラインが風に引かれてドラグが鳴ることもあります。初心者は釣行を控えましょう。
- ▪10m/s以上(予報用語「やや強い風」)風に向かって歩きにくく、傘がさせない強さです。転倒・落水のリスクが高く、釣りの中止を真剣に検討してください。
向かい風でも釣れる逆説的なケース
「向かい風はキャストに不利」という常識は正しいですが、釣果については必ずしも不利ではありません。 ここでいう向かい風とは、岸に立つ釣り人から見て海から吹きつけてくる風(オンショア)のことです。 この風が吹くと波が岸に向かって寄せ、表層のプランクトンや小魚が岸側に押しつけられます。 沖の深場にいた魚も、餌を追って岸近くに寄りやすくなると考えられています。
特にサーフ(砂浜)では、適度なオンショア(5m/s程度)が白波を立てます。 白波は海面をかき混ぜ、魚の警戒心も薄れるといわれます。 ヒラメ・シーバスは、こうした白波の際に潜んで小魚を追うことがあります。 「向かい風でサーフが波立ち気味の日にヒラメが釣れた」という経験は、この状況で説明できるかもしれません。
ただし向かい風ではキャストの精度が落ちます。 重めのメタルジグやジグヘッドで飛距離を確保し、魚が食いつく範囲(バイトゾーン)を広く探る工夫が必要です。
地域によって吹きやすい方角が違う
日本は地理的に季節風の影響を強く受けます。 釣り場ごとに吹きやすい風向き(利き風向き)を知っておくと、釣行の可否を判断しやすくなります。
- ▪太平洋側(関東・東海・近畿南部)夏は南〜南西の風が吹きやすく、北向きの岸では追い風になりやすくなります。冬は北西の季節風が強まることがあります。
- ▪日本海側(山陰・北陸・東北日本海)冬はシベリア高気圧から吹き出す北西の季節風が強く吹きます。南向きの岸は風裏になり、多少は風を避けられます。
- ▪北海道冬はシベリアからの北〜北西の季節風が強く、日本海側・オホーツク海側が荒れやすくなります。夏は南寄りの風に替わり、太平洋側では海霧が出やすくなります。
- ▪九州・南西諸島夏場は台風と強い南風に注意が必要です。冬は九州で北西、沖縄で北寄りの季節風が吹きやすくなります。
突風(瞬間風速)は平均風速の1.5倍、ときに3倍以上
天気予報の「風速」は10分間の平均値です。 気象庁によると、瞬間風速(3秒間の平均)は平均風速の1.5倍程度になることが多く、大気の状態が不安定なときは3倍以上になることもあります。 平均5m/sでも突風が10〜15m/sに達することがあり、磯や堤防の先端では突風による転倒・落水事故が毎年起きています。
アメダスの観測値や気象庁の予報では「最大瞬間風速」が別に示されることがありますが、釣り場で突風の来る瞬間を予測するのは困難です。 経験則として「平均風速7m/s超の予報なら突風15m/sも想定する」構えが実用的です。
特に磯場・テトラ・防波堤の先端など足場の悪い場所では、突風のリスクを大きめに見積もってください。 ライフジャケットの着用と転倒防止を最優先にしましょう。
適度な風は魚を浮かせる
水温が高い夏は海水に溶ける酸素が少なく、無風で海面がかき混ぜられないと魚の活性が落ちやすいといわれます。 適度な風(3〜5m/s)で海面が波立つと、魚が浮きやすくなるという経験則があります。 夏の日中、無風でまったく釣れなかった場所が、夕方に海風が吹き始めてから急に活性が上がった、という経験をしたことがある方も多いでしょう。