「上げ3分・下げ7分」は本当か?満潮・干潮と釣りの関係

「上げ3分・下げ7分」がなぜ言われるのかを潮の動きから読み解きます。砂浜・磯・漁港で釣れやすい潮位が異なる理由と、潮位より重要な「潮の動く時間」を解説します。

2026.05.28

「上げ3分・下げ7分が釣れる」。 この経験則を、釣り人なら一度は耳にしたことがあるでしょう。 しかし「なぜその時間帯なのか」を説明できる人は多くありません。 また、この経験則は条件次第でまったく当てはまらないことも多くあります。

満潮・干潮のどちらが釣れるかは、釣り場の地形と魚種によって変わります。 一般論を超えて、根拠のある判断基準を持つことが釣果向上の近道です。

東京の2026年10月13日(大潮)の潮汐グラフ。満潮と干潮の中間で潮が速く動き、満潮・干潮の前後は潮止まりになる
東京・2026年10月13日(大潮)の潮汐。橙色が潮の速く動く時間、灰色が潮止まり。速く動くのは満潮と干潮の中間ごろです(潮どきの計算による推算値)。

結論:釣れるのは「潮位の高低」ではなく「潮が動いている時間」

満潮・干潮のピークは「潮止まり」です。 海面の高さが一番高い瞬間(満潮)も、一番低い瞬間(干潮)も、潮はほとんど動いていません。 潮の流れが止まると、プランクトンや小魚の移動が鈍り、それを追う大型魚の捕食活動も下がります。

つまり「満潮と干潮のどちらが釣れるか」という問いの立て方自体が、少しずれています。 釣れやすいのは「満潮に向かって潮が上げているとき」と「干潮に向かって潮が下げているとき」、つまり潮が流れている時間帯です。

潮どきの潮汐グラフで確認できる「グラフの傾きが急な部分」がまさにこの「潮の動く時間帯」です。 傾きが水平に近い部分が潮止まりにあたります。

「上げ3分・下げ7分」はなぜ言われるのか

まず明確にしておくと、この表現は科学的な測定値ではなく、長年の経験から生まれた釣り師の「体感」です。 厳密な根拠があるわけではありません。

ただし、なぜこの経験則が広まったかはある程度説明できます。 干潮から満潮へ向かう潮(上げ潮)の初期には、干上がっていた浅場に魚が入り始めます。 「3割ほど上げた頃」は、この浅場に入ってくるタイミングにあたることが多いと考えられます。

下げ潮の「7割下げた頃」は、潮流がある程度速くなって安定しており、沖の深場と浅場の間でエサとなる生物が流されやすい状況です。 これが「下げ7分」が好まれる理由の一つと考えられています。 なお「下げ潮は上げ潮より流れの変化が穏やか」という説明も聞かれますが、潮どきの潮位計算ではこの差は確かめられないため、ここでは断定しません。

いずれにせよ「上げ3分・下げ7分」を絶対視するより、その日の潮汐グラフを見て「潮が安定して動いている時間帯」を探す方が合理的です。

「釣れる潮位」は釣り場の種類でまったく違う

同じ「上げ潮」でも、釣り場の地形によって最適な潮位は大きく異なります。 一般論で「上げが釣れる」と言われても、砂浜・磯・漁港では状況が正反対になることさえあります。

  • ▪砂浜(サーフ)上げ潮でヒラメが岸寄りの浅場に入ってきます。満潮前後は波打ち際まで魚が寄りますが、波が高くなりすぎると釣りにくくなります。
  • ▪磯(岩場)満潮時は岩が水没してポイントが増え、メジナ・チヌが磯の際に付きやすくなります。干潮時は足場が広がる一方、魚は沖の深場に下がる傾向があります。
  • ▪漁港・防波堤干潮時は港内の水深が浅くなり、青物・シーバスは沖に出がちです。上げ潮で港内に魚が入り、活性が上がる場合が多くあります。
  • ▪河口(シーバス狙い)下げ潮で川からの流れが強まり、淡水と海水がぶつかる境目(潮目)ができやすくなります。この境目付近にシーバスが集まりやすくなります。

マズメと組み合わせた「狙い目の時間帯」

釣果を上げやすい条件は、「マズメ時(日の出前後・日没前後)」と「潮が動いている時間」が重なることです。 この2つが揃う時間帯は、季節を問わず釣果が安定しやすいといわれます。

潮どきの潮汐グラフでは、上部の橙色の日バー(日の出〜日の入り)と、グラフの急傾斜部分(潮位が速く変化する時間)を同時に確認できます。 朝マズメの時刻にグラフが急傾斜になっている日が「ゴールデンタイム」です。 日付を切り替えて前日から6日後まで見比べ、この条件が揃う釣行日を選びましょう。

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