満潮・干潮と釣りの関係——「上げ3分・下げ7分」は本当か?

「上げ3分・下げ7分」が生まれた理由を科学的に分析。砂浜・磯・漁港で釣れる潮位がまったく異なる理由と、潮位より重要な「潮の動く時間」を解説します。

2026.05.28

「上げ3分・下げ7分が釣れる」——この経験則を、釣り人なら一度は耳にしたことがあるでしょう。 しかし「なぜその時間帯なのか」を説明できる人は少ない。 そしてもう一つの真実として、この経験則は条件次第でまったく当てはまらないことも多くあります。

満潮・干潮のどちらが釣れるかは、釣り場の地形と魚種によって変わります。 一般論を超えて、根拠のある判断基準を持つことが釣果向上の近道です。

満潮・干潮と釣りの関係:上げ3分・下げ7分の真実——釣れるのは潮が動いている時間
潮汐グラフの傾きが急な部分が「潮の動く時間=ゴールデンタイム」。地形別の釣れる潮位と、朝マズメ×潮の動きの組み合わせが最強。

結論:釣れるのは「潮位の高低」ではなく「潮が動いている時間」

満潮・干潮のピークは「潮止まり」です。 海面の高さが一番高い瞬間(満潮)も、一番低い瞬間(干潮)も、潮はほとんど動いていません。 潮の流れが止まると、プランクトンや小魚の移動が鈍り、それを追う大型魚の捕食活動も下がります。

つまり「満潮と干潮のどちらが釣れるか」という問いの立て方自体が、少しズレています。 正しくは「満潮に向かって潮が上げているとき」「干潮に向かって潮が下げているとき」——つまり潮が流れている時間帯が釣れるのです。

潮どきの潮汐グラフで確認できる「グラフの傾きが急な部分」がまさにこの「潮の動く時間帯」です。 傾きが水平に近い部分が潮止まりにあたります。

「上げ3分・下げ7分」の科学的な解釈

まず明確にしておくと、この表現は科学的な測定値ではなく、長年の経験から生まれた釣り師の「体感」です。 厳密な根拠があるわけではありません。

ただし、なぜこの経験則が広まったかは説明できます。 干潮から満潮へ向かう潮(上げ潮)の初期段階では、干上がっていた浅場に魚が侵入し始めます。 「3割ほど上げた頃」というのは、この「浅場への侵入タイミング」に相当することが多い。

下げ潮の「7割下げた頃」は、潮流が安定してある程度速くなっており、沖の深場と浅場の間でエサとなる生物が流されやすい状況です。 また下げ潮は上げ潮より流速の変化が穏やかなため、魚が餌を追いやすい時間が長く続く傾向があります。 これが「下げ7分」が好まれる理由の一つと考えられています。

いずれにせよ「上げ3分・下げ7分」を絶対視するより、その日の潮汐グラフを見て「潮が安定して動いている時間帯」を探す方が合理的です。

釣り場の種類別——「釣れる潮位」はまったく違う

同じ「上げ潮」でも、釣り場の地形によって最適な潮位は大きく異なります。 一般論で「上げが釣れる」と言われても、砂浜・磯・漁港では状況が正反対になることさえあります。

  • 砂浜(サーフ):上げ潮でヒラメが岸側の浅場に入ってくる。満潮前後は波打ち際まで魚が寄るが、波が高くなりすぎると釣りにくい。
  • 磯(岩場):満潮時は岩が水没してポイントが増え、メジナ・チヌが磯の縁に付きやすい。干潮時は足場が増えるが、魚は沖の深場に下がる傾向がある。
  • 漁港・防波堤:干潮時は港内の水深が浅くなり、青物・シーバスは沖に出る。上げ潮で港内に魚が入ってきて活性が上がる場合が多い。
  • 河口・サーフ(シーバス狙い):下げ潮で川からの流れが増し、淡水と海水の境界(スラック)が形成される。この境界付近にシーバスが集まりやすい。

マズメと組み合わせた「最強の時間帯」

釣果を最大化する条件は、「マズメ時(日の出前後・日没前後)」と「潮が動いている時間」が重なることです。 年間を通じて、この2条件が揃う日の釣果は安定して高くなります。

潮どきの潮汐グラフでは、橙色の日バー(日の出〜日の入り)とグラフの急傾斜部分(潮が速く動く時間)を同時に確認できます。 朝マズメ時刻にグラフが急傾斜になっている日が「ゴールデンタイム」です。 1週間分を見渡して、この条件が揃う釣行日を選びましょう。

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