潮汐グラフの読み方と、太平洋と日本海で「形」がまったく違う理由

潮汐グラフの基本から、日本特有の地域差(半日周潮・日周潮)、グラフの傾きから潮の速さを読む方法まで解説。同じ「大潮」でも東京湾と舞鶴で潮位差が約6倍異なる仕組みとは。

2026.05.28

潮汐グラフを見慣れた人でも、太平洋側の港と日本海側の港のグラフを並べると「形が違う」と感じるはずです。 太平洋側は1日2回の山と谷が規則的に現れるのに対し、日本海側では山が1日1回しかはっきり現れない日が多くあります。 この違いを知るだけで、釣行計画の精度が大きく変わります。

潮汐グラフの基本構造

横軸が時間(0〜24時)、縦軸が海面の高さ(潮位:単位cm)を表す折れ線グラフです。 グラフが山になる部分が「満潮(High Tide)」、谷になる部分が「干潮(Low Tide)」です。

ここで注意が必要なのが縦軸の基準(0の位置)です。 潮位をどこから測るかには流儀があり、気象庁や海図の潮位表は「基本水準面(その地点のほぼ最低の干潮面)」を0にしています。 この方式では潮位は基本的に正の値になり、東京なら0〜230cm程度で表示されます。

潮どきは平均海面を0として表示しています。 そのため満潮側が正、干潮側が負になり、東京では概ね -132〜+88cm の範囲で動きます。 実際、東京では年間の約44%の時間帯で潮位がマイナス表示です。 他のサイトや釣り雑誌の数字と比べて「値が小さい」と感じるのはこのためで、計算が違うわけではありません。

いずれの方式でも「満潮と干潮の差(潮位差)」は変わりません。 釣りで見るべきなのはこの差と、動く速さです。

2026年10月13日の東京と舞鶴の潮汐グラフを同じ縦軸で並べた図。干満差は東京175cm、舞鶴26cm
同じ日・同じ縦軸で並べた東京と舞鶴の潮汐グラフ。東京は1日2回の満干がはっきりし、舞鶴はほとんど平らに見えます(潮どきの計算による推算値)。

半日周潮(太平洋側)と日周潮(日本海側)

日本の潮汐を理解するうえで、ここが最も重要なポイントです。 太平洋側の多くの港では「半日周潮(M2分潮が支配的)」の影響が強く、1日2回の山と谷が規則正しく現れます。

一方、日本海側では「日周潮(K1・O1分潮が支配的)」の影響が相対的に強く、1日に1回しか潮が大きく動かない日がよくあります。 実際、潮どきの収録地点で日周成分と半日周成分の比(形数F)を計算すると、東京0.63・横浜0.67に対し、佐渡1.46・深浦1.52・石狩1.53と日本海側は明らかに高くなります。 稚内はF=3.08で、日本では数少ない「日周潮」に分類されます。 大阪湾(大阪0.98・神戸1.01)は両者が拮抗した複雑な潮汐パターンを示しますが、同じ瀬戸内海でも広島は0.37と半日周潮が強く出ます。

実際に潮どきで北陸・山陰地方の漁港を表示してみると、潮汐グラフの「山の数」が太平洋側と明らかに異なることが確認できます。 この違いは、日本列島を取り巻く海の形(海盆の形状と共鳴周期)によって、増幅されやすい分潮が海域ごとに異なるために生じます。

同じ「大潮」でも潮位差は11倍違う

「大潮」というラベルだけ見ていると気づきにくいのですが、日本国内でも場所によって大潮時の潮位差には極端な差があります。 以下は潮どきが収録する調和定数から2026年の365日分を計算した、大潮の日の平均潮位差です。

  • ▪広島(瀬戸内海)大潮平均 337cm(収録24地点で最大)
  • ▪名古屋(伊勢湾)大潮平均 224cm
  • ▪東京(東京湾)大潮平均 181cm(流れが強く、水道部は特に速い)
  • ▪大阪(大阪湾)大潮平均 135cm
  • ▪舞鶴(日本海)大潮平均 30cm(東京の約1/6)
  • ▪境港(鳥取・日本海)大潮平均 26cm
補足:年間で最も干満差が大きい日どうしで比べると、広島388cmに対して石狩(小樽)は34cmで約11倍の開きがあります。なお有明海はさらに大きく、最大6m超の日本一の干満差で知られますが、潮どきの収録地点には含まれていません。日本海側では潮まわりによる流速差が小さいため、「大潮だから釣れる」という判断は太平洋側ほど有効ではありません。

グラフの「傾き」が潮流速度の目安

潮汐グラフの読み方として、ぜひ覚えてほしいのが「傾きの急さ=潮流の速さ」という見方です。 グラフが急傾斜になっている時間帯は、単位時間あたりの海面変化が大きく、潮が速く動いています。 逆にグラフがほぼ水平になっている部分(満潮・干潮のピーク前後)が潮止まりです。

釣りで「今潮が動いているか」を判断するとき、時刻よりもグラフの傾きを見る習慣をつけましょう。 急傾斜の中心付近が、その日で最も潮が速く動く「ゴールデンタイム」です。

潮どきのグラフを最大限に活用する

潮どきでは、当日のグラフに現在時刻を赤い破線と波紋のアニメーションで示し、グラフの上部に橙色(日の出〜日の入り)と紺色(月の出〜月の入り)のバーを表示しています。 これらを組み合わせると、「あと何時間で潮が最も動くか」「朝マズメと潮の動く時間が重なるか」がひと目で分かります。

日付を切り替えれば、前日から6日後までのグラフを確認できます。 条件が最も揃う日を選んで釣行日にすることが、計画的に釣果を上げる第一歩です。

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