潮干狩りは、潮見表の使い方が最も分かりやすく結果に出るレジャーです。 潮が大きく引く日に行けば広い干潟が現れ、そうでない日に行けば水際があまり下がらず、貝のいる場所まで届きません。
この記事では、潮どきの潮見表を使って「最も潮が引く日」を見つける方法を説明します。

狙うのは大潮の干潮、ただし条件が2つある
潮干狩りの基本は、大潮の日の干潮時刻を狙うことです。 大潮は月と太陽の起潮力(潮を起こす力)が重なる時期で、干満差が大きく、干潮時の潮位が低くなります。
ただし、大潮ならいつでも良いわけではありません。 条件は2つあります。
1つ目は、干潮の時刻が日中であること。 大潮の日でも、干潮が深夜0時なら潮干狩りはできません。 2つ目は、その日の干潮潮位が十分に低いこと。 同じ大潮でも、日によって干潮の潮位には差があります。
なぜ春〜夏は昼間に潮が大きく引くのか
潮干狩りのシーズンが春(3〜5月)とされるのには、理由があります。 味が良い時期という食味の話もありますが、それ以上に「春は大潮の干潮が昼間に来る」という潮汐の性質が効いています。
大潮は新月と満月の頃に起こります。 このとき月と太陽はほぼ同じ方向(または正反対)にあるため、月による潮汐と太陽による潮汐のタイミングが揃います。 その結果、大潮の干潮時刻は太陽の位置と一定の関係を持ち、場所ごとにほぼ決まった時刻帯に来ます。 さらに1日2回の干潮のどちらが低くなるかは、1日周期の潮(日周潮)の影響で季節によって入れ替わります。
これを潮どきの計算エンジンで確かめました。 東京について2026年の大潮の日(年間95日)を対象に、その日で最も低い干潮が日中(9〜16時)に来るかどうかを月ごとに数えたところ、次のようになりました。
- ▪1月: 大潮8日のうち日中に来るのは2日
- ▪2月: 7日のうち3日
- ▪3月: 8日のうち4日
- ▪4月: 7日のうち7日(全日)
- ▪5月: 9日のうち9日(全日)
- ▪6月: 8日のうち8日(全日)
- ▪7月: 9日のうち9日(全日)
- ▪8月: 9日のうち9日(全日)
- ▪9月: 7日のうち5日
- ▪10月: 8日のうち2日
- ▪11月: 7日のうち3日
- ▪12月: 8日のうち2日
4月から8月までは42日すべてが日中でした。 逆に秋から冬にかけては、その日いちばん低い干潮が夜にずれ込みます。 月ごとの最も低い干潮で比べると、東京では6月16日11時台の-132cmに対し、12月24日23時台にも-131cmとほぼ同じだけ引きます。 冬も潮は大きく引きますが、それが真夜中なのです。 潮干狩りが春のレジャーとされるのは、暖かくなるからだけでなく、この季節性が効いているためです(夏も条件は同じですが、炎天下の干潟での作業は体への負担が大きくなります)。
なお、この昼夜のずれ方は地点の調和定数によって決まるため、地域差があります。 名古屋は東京とほぼ同じ傾向(4〜8月は42日中42日が日中)ですが、広島は4〜8月でも42日中16日にとどまり、しかも16時前後の夕方寄りでした。 潮どきの24地点で最も干満差が大きい広島でも、潮干狩りに使える時間帯かどうかは別問題です。 実際に行く日は、必ずその場所の潮見表で干潮時刻を確認してください。
潮見表のどこを見るか
潮どきの各スポットページには、当月の潮見表を掲載しています。 潮干狩りの日を選ぶときは、次の順で見てください。
- ▪1. 「潮」の列で大潮の日を探す赤いラベルが大潮です
- ▪2. 「干潮」の列で時刻を確認日中(10時〜15時ごろ)に干潮が来るかを見ます
- ▪3. 干潮の潮位(cm)を比べるその月の中で低いほうかを確認します。数値が小さいほど潮が引きます
- ▪4. 「干満差」の列も参考にその日にどれだけ潮が動くかの目安になります
干潮の前後2時間が勝負
現地での動き方も、潮見表から逆算できます。 潮が最も引くのは干潮時刻ですが、その瞬間だけを狙うのではありません。
実際には、干潮時刻の1〜2時間前に現地に入り、潮が引いていくのを追いかけながら沖へ進むのが基本です。 干潮を過ぎたら、上げ潮に追われる前に戻り始めます。 実質的な勝負時間は干潮前後の2〜3時間です。
上げ潮は思ったより速く進みます。 潮位は干潮から満潮までの約6時間のうち、中間の3時間で全体の半分以上が上がります。 大潮は上がる量そのものが大きいので、特に注意が必要です。 遠浅の干潟では、水平方向に数百メートル水際が移動することもあります。 沖に出すぎて上げ潮に囲まれる事故は実際に起きています。 戻る時刻を先に決めてください。
潮位差が大きい海域ほど条件が良い
潮干狩りに適しているのは、干満差の大きい海域です。 潮どきの24基準地点で年間最大干満差を計算すると、広島388cm、名古屋253cm、東京208cmと、瀬戸内海・伊勢湾・東京湾で大きな値になります。 有明海はさらに大きく、日本一の干満差で知られています。
逆に日本海側は年間最大でも34〜59cmしかありません。 潮干狩り場が太平洋側・瀬戸内海側に集中しているのは、この潮位差の違いが大きな理由です。
場所のルールを必ず確認する
最後に重要なことを。 潮干狩りができる場所は限られています。 多くの海岸には漁業権が設定されており、勝手に貝を採ると密漁になります。
アサリ・ハマグリなどの貝類は漁業権の対象になっていることが多く、都道府県の漁業調整規則でも大きさや漁具が定められています。 「潮干狩り場」として開放されている場所(多くは有料)以外で採ると、漁業権侵害(100万円以下の罰金)になるおそれがあります。 たとえば福岡県では殻長3cm以下のアサリの採捕が禁止され、博多湾では間口35cm以上のじょれん(貝を掘る道具)が使えません。 愛知県でも、潮干狩りで使える漁具は漁業調整規則で限られています。
潮どきは潮位の情報を提供していますが、その場所で潮干狩りが可能かどうかの情報は持っていません。 必ず現地の自治体・漁協の情報を確認してから行ってください。