潮まわりや潮位の読み方そのものは、季節が変わっても同じです。 しかし「その潮をどう使うか」は、季節によって大きく変わります。
水温、日の出・日の入りの時刻、海況の安定度、魚の行動——これらがすべて季節で動くためです。 この記事では、季節ごとに何が変わり、潮とどう組み合わせるかを整理します。
春(3〜5月)——水温上昇と乗っ込み
春は水温が上昇に転じる季節です。 多くの魚種が産卵のために浅場へ寄る「乗っ込み」が起こり、大型が接岸するチャンスがあります。
一方で、春の海は不安定です。 「春一番」に代表される強風、急な冷え込みによる水温の逆戻り(花冷え)があり、条件の変動が大きい季節でもあります。 水温が上がったと思ったら数日で3〜4度下がる、といったことが起きます。
潮の使い方としては、日中の大潮が狙い目になります。 春は昼間に大潮の干潮が来る時期でもあり、干潮時に露出する地形を観察して、次の釣行の作戦を立てるのに適しています。
- ▪狙い目: 水温が安定して上昇した数日後、大潮〜中潮の上げ潮
- ▪注意: 強風。春は風速が上がりやすく、釣行中止の判断が必要な日が多い
- ▪日の出: 東京では4月1日の5時27分から月末には4時49分へ。1か月で38分早まる
夏(6〜8月)——高水温とマズメへの集中
夏は水温が最も高くなり、多くの魚が高水温を避けて深場や日陰に移動します。 日中の釣果は落ち、朝夕のマズメに釣果が集中する季節です。
水温が27度を超えると、アジをはじめとする多くの魚種が浅場から抜けます。 表層と底層で水温差が生まれる(サーモクライン)ため、タナの見極めがより重要になります。
夏至前後は日の出が最も早く(東京で4時25分頃)、日の入りが最も遅い(19時頃)。 マズメを狙うなら、朝は4時前に現地入りする必要があります。 潮どきの潮見表には各釣り場の座標から計算した日の出・日の入り時刻を表示しているので、現地入り時刻の逆算に使えます。
- ▪狙い目: 朝マズメ×上げ潮、夕マズメ×下げ潮の重なる日。夜釣りも有効
- ▪注意: 熱中症。夏の日中の釣りは体力を消耗します。台風シーズンの入り口でもあります
- ▪日の出: 東京では6月1日4時26分・夏至4時26分・8月末5時13分(6〜8月で約47分の変化)
秋(9〜11月)——最も条件が揃う季節
秋は水温が適水温帯まで下がり、冬に備えて魚が活発に餌を追う季節です。 青物の回遊、アオリイカのシーズン、投げ釣りのカレイなど、狙える魚種の幅が最も広くなります。
「秋は何をやっても釣れる」と言われるのは、水温・光量・餌の量という3条件が同時に整うためです。 潮まわりを選ぶ余裕がある季節でもあり、大潮でも小潮でもそれなりに結果が出ます。
ただし秋は台風の季節です。 台風の2〜3日前の気圧低下は荒食いのきっかけになりますが、波が上がってからでは釣行できません。 うねりの周期が長くなり始めたら、無理をせず撤退の判断をしてください。
- ▪狙い目: 台風接近の2〜3日前(ただし安全最優先)、水温が20〜25度に下がった時期の大潮〜中潮
- ▪注意: 台風とうねり。日没が急速に早まるため、暗くなる時刻の把握を
- ▪日の入り: 東京では秋分(9/23)に17時36分、10月20日ごろに17時を切り、11月末には16時28分まで早まる
冬(12〜2月)——低水温と潮のわずかな動き
冬は水温が最も低く、魚の活性が落ちる季節です。 多くの魚が深場に落ち、浅場に残るのは低水温に強い魚種(メバル、カサゴ、アイナメ、カレイなど)に限られます。
冬の釣りでは、わずかな条件の差が結果を分けます。 日中で最も水温が上がる時間帯(正午〜午後3時ごろ)と、潮が動く時間帯が重なるタイミングが狙い目です。 冬は朝マズメより日中のほうが釣果が出ることも珍しくありません。
潮位差が小さい小潮でも、根魚は口を使います。 冬は「大潮を待つ」より「風が弱く、行ける日に行く」ほうが実利があります。 日本海側は冬季の季節風でそもそも釣行できる日が限られるため、なおさらです。
- ▪狙い目: 日中の水温が上がる時間帯×潮が動く時間帯。小潮でも根魚は狙える
- ▪注意: 低水温での落水は致命的。冷水ショックで数分で泳げなくなります。ライフジャケット必須
- ▪日の出: 6時47分頃(東京、冬至)。朝マズメは遅く、夕マズメは16時台
季節を問わず有効な組み立て方
どの季節でも共通するのは、「マズメの時刻」と「潮が動く時間帯」を重ねるという考え方です。 この2つが揃う日は、年間を通じて期待値が高くなります。
潮どきの当月の潮見表では、各日の満潮・干潮の時刻と、その釣り場の座標から計算した日の出・日の入りの時刻を並べて表示しています。 さらに、マズメ帯(日の出・日の入りの45分前から90分後)に潮位が大きく動く日には「マズメ◎」の印を付けています。
月初にこの表を見て、条件の揃う数日をあらかじめ押さえておく——という使い方をすると、限られた釣行回数の精度が上がります。