漁港で釣りをするときのルールとマナー、立入禁止が増えている理由

漁港は釣り場ではなく漁業のための施設です。全国2,930漁港のデータを扱う立場から、立入禁止が広がる背景と、釣り人が守るべき具体的なルールを整理します。

2026.08.09

潮どきは全国2,930の漁港のデータを収録しています。 しかし、そのすべてが自由に釣りをしてよい場所ではありません。

近年、釣り禁止・立入禁止になる漁港が増えています。 その理由の大半は、釣り人側の問題行動です。 この記事では、漁港がどういう施設なのかという前提から、具体的に何をしてはいけないのかを整理します。

漁港は「漁業のための施設」である

漁港は「漁港及び漁場の整備等に関する法律」(2023年の改正で漁港漁場整備法から改称、2024年4月施行)にもとづいて整備された、水産業のための公共施設です。 防波堤も岸壁も物揚場も、漁船を安全に係留し、水揚げするために作られています。

つまり釣り人は、本来の用途とは違う目的で施設を使わせてもらっている立場です。 「税金で作られた公共施設だから自由に使える」という理屈は通りません。 漁港を管理するのは都道府県や市町村(漁港管理者)で、漁港管理規程にもとづいて施設の利用を制限できます。 現場の管理には地元の漁業協同組合が関わっていることも多くあります。

実際、多くの漁港では防波堤の先端部や係留施設が立入禁止に指定されています。 看板やロープがある場所には入らないこと。 これが最初のルールです。

立入禁止が広がった直接の原因

漁港が釣り禁止になっていく典型的な流れは、次のようなものです。

  • ▪ゴミの放置仕掛けの袋、餌の空きパック、飲料容器などです。特に切れた釣り糸と針は、漁業者の手や漁網、港内の生物を傷つけます
  • ▪駐車問題漁業関係車両の動線を塞いだり、水揚げ作業スペースに駐車したりすると、作業に実害が出ます
  • ▪係留ロープへの被害ロープの上を歩く、ロープに仕掛けを絡ませるといった行為です。ロープが切れれば船が流されます
  • ▪危険行為による事故立入禁止区域で転落事故が起きると管理者の責任が問われるため、管理者は一律禁止に踏み切らざるを得なくなります
  • ▪深夜の騒音港の近くには、早朝から仕事に出る漁業者が住んでいます
  • ▪排泄物トイレのない漁港で用を足す行為も、立入禁止の理由として挙げられることがあります
注意:一度立入禁止になった漁港を再び開放するのは簡単ではありません。目の前の釣り場だけでなく、次の世代の釣り場も失われます。

守るべき具体的なルール

  • ▪立入禁止の表示がある場所には入らない看板・ロープ・チェーンはすべて管理者の意思表示です
  • ▪ゴミは必ず持ち帰る自分のものでなくても、目についた釣り糸は拾って帰りましょう
  • ▪駐車は指定場所に分からなければ港から離れた場所に停めて歩きます。漁協や近隣の迷惑にならない位置を選んでください
  • ▪係留ロープ・船に仕掛けを近づけない引っかけたら必ず回収します
  • ▪漁業作業の邪魔をしない水揚げ・出港の時間帯は場所を空け、声をかけられたら素直に従います
  • ▪深夜早朝は静かに車のドアの開閉音や話し声に気をつけ、ヘッドライトを民家や人に向けないようにします
  • ▪撒き餌の後始末岸壁に残った撒き餌は、帰る前に海水で流します
  • ▪トイレは事前に済ませるコンビニなどで済ませてから向かいます

釣りが認められている漁港でも変わりうる

現在釣りができる漁港でも、状況は変わります。 工事、事故、漁業権の設定、季節的な規制など、理由はさまざまです。

潮どきに収録している漁港データは、国土数値情報(国土交通省)の漁港データをもとにしています。 これは漁港の所在を示すデータであり、釣りの可否を示すものではありません。 現地の看板と掲示が常に優先します。

初めての漁港に行く場合は、現地で掲示を確認し、周囲の状況を見てから竿を出してください。 誰も釣りをしていない漁港には、していない理由があることがあります。

逆に「開かれる」動きもある(漁港施設等活用事業)

立入禁止が広がる一方で、制度としては逆方向の動きも始まっています。 2023年に漁港漁場整備法が改正され(2024年4月施行)、「漁港施設等活用事業」という枠組みが新設されました。

これは、漁業利用に支障のない範囲で、民間事業者が漁港の施設や水域を活用できるようにする制度です。 対象には水産物の販売・飲食のほか、「交流の促進に資する事業」として遊漁や漁業体験活動が明示されています。 従来は一時的・例外的な使用許可の範囲でしか取り組めず、水域や公共空地の占用も通常は最長10年でした。 この制度では、漁港施設の貸付けや水域・公共空地の占用が最長30年まで認められ、事業者が長期の投資をしやすくなりました。

つまり「釣り人が勝手に入る場所」ではなく「管理者が計画的に開放する場所」として、漁港に遊漁を位置づける道ができました。 遊漁や漁業体験のために水面を占用して施設を運営する「漁港水面施設運営権」(最長10年、更新可)という権利も新設されています。 マナーが守られるほど、この方向の動きは進めやすくなります。

遊漁のルールも確認を

マナーとは別に、法的なルールもあります。 都道府県ごとに漁業調整規則があり、採捕が禁止されている魚種・サイズ・期間・漁具が定められています。

とくに注意が必要なのは、アワビとナマコです。 この2種は2020年12月施行の改正漁業法で「特定水産動植物」に指定されました(2023年12月からはシラスウナギも対象)。 漁業権や漁業の許可にもとづかずに採捕すると、3年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金の対象になります。 水産庁によれば、この罰金額は個人に対する罰金の最高額です。 密漁品と知りながら運搬・保管・取得(有償・無償を問わない)したり、売り先の仲介をしたりした人も同じ罰則の対象です。 漁業者か一般人かを問わず、採捕した数量や場所にかかわらず適用されるため、自家消費のための少量でも例外にはなりません。

サザエやイセエビは、漁業権の対象になっていることが多い生き物です。 権限なく採捕すると漁業権侵害となり、100万円以下の罰金の対象です。 「潜って獲る」だけでなく、磯で拾う行為が違反になる場合もあります。 水産庁の集計では、2024年の密漁の検挙件数1,661件のうち1,465件が漁業者以外によるものでした。

各都道府県の水産部局のサイトに遊漁のルールが掲載されています。 釣行前に一度目を通しておくと安心です。

補足:潮どきに釣り場情報の誤りや、立入禁止になった漁港の情報があれば、お問い合わせフォームからお知らせいただけると助かります。

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