全国24地点の潮位差データ:最大388cm・最小34cmで11倍の差

潮どきの調和定数から、全国24地点の2026年の年間最大干満差を計算しました。太平洋・瀬戸内側と日本海側の平均で約5倍、最大と最小では11倍。地域によって「大潮」の意味がまったく違う実態をデータで示します。

2026.08.09

「大潮だから潮が動く」。 釣りの世界で当たり前に語られるこの言葉が、地域によってまったく違う意味を持つことは、あまり知られていません。

潮どきが収録している全国24の潮汐基準地点について、2026年1年分の日別干満差を実際に計算しました。 その結果、1年で最も干満差が大きかった日の値(年間最大干満差)は、地点によって34cmから388cmまで開きがありました。 約11倍です。

年間最大干満差ランキング(上位10地点)

各地点の調和定数から2026年の365日分を5分刻みで計算し、日ごとの干満差(最高潮位と最低潮位の差)のうち1年で最も大きい値を並べました。 大潮の日の平均ではありません(大潮平均は東京181cm、広島337cm)。

  • ▪1位 広島(広島県): 388cm
  • ▪2位 名古屋(愛知県): 253cm
  • ▪3位 那覇(沖縄県): 229cm
  • ▪4位 油津(宮崎県): 214cm
  • ▪5位 土佐清水(高知県): 209cm
  • ▪6位 東京(東京都): 208cm
  • ▪7位 福岡(福岡県): 207cm
  • ▪8位 高知(高知県): 203cm
  • ▪9位 室戸岬(高知県): 202cm
  • ▪10位 横浜(神奈川県): 197cm

下位10地点には日本海側が並ぶ

  • ▪24位 石狩・小樽(北海道): 34cm
  • ▪23位 境・境港(鳥取県): 36cm
  • ▪22位 深浦(青森県): 37cm
  • ▪21位 稚内(北海道): 38cm
  • ▪18位 佐渡(新潟県): 39cm
  • ▪18位 能登(石川県): 39cm
  • ▪18位 富山(富山県): 39cm
  • ▪17位 舞鶴(京都府): 41cm
  • ▪16位 浜田(島根県): 59cm
  • ▪15位 神戸(兵庫県): 167cm
補足:下位9地点はすべて日本海側です。日本海は対馬・津軽・宗谷などの狭い海峡でしか外洋とつながらない半閉鎖的な海で、外洋の潮汐が入り込みにくいため、潮位差が構造的に小さくなります。

太平洋側と日本海側の平均は約5倍の差

24地点を太平洋・瀬戸内・九州側(15地点)と日本海側(9地点)に分けて、年間最大干満差の平均を出すと次のようになりました。

太平洋・瀬戸内・九州側の平均は213cm、日本海側の平均は40cmで、約5.3倍の差です。 大潮の日の平均干満差でも182cmと29cmで、約6倍です。

この差は「大潮の日に何をすべきか」を根本的に変えます。 太平洋側では大潮の日は潮が激しく動き、流れが速すぎて釣りにくくなることさえあります。 一方の日本海側では、年間で最も潮が動く日ですら40cm前後にとどまり、太平洋側の小潮(東京の小潮平均は96cm)より小さい値です。 日本海側では「大潮を待つ」戦略はあまり機能しません。

補足:稚内は厳密には宗谷海峡に面する地点ですが、潮汐の性質が日本海側に近いため日本海側に含めて集計しています。福岡は玄界灘に面していますが、年間最大干満差が207cmと太平洋側並みのため、太平洋・瀬戸内・九州側に含めています。

なぜ広島が突出しているのか

1位の広島は388cmと、2位の名古屋(253cm)に大きく差をつけています。 これは瀬戸内海という地形に理由があります。

瀬戸内海は東の紀伊水道と西の豊後水道・関門海峡から潮が入り込む、細長く浅い海です。 外洋から入った潮汐の波は、狭く浅い海域を進むうちに振幅が大きくなります。 さらに、海域の形と潮汐の周期の関係から共振に近い増幅が起き、潮位差が大きくなると考えられています。

実際、広島の M2 分潮の振幅は101.5cmで、東京(47.8cm)の2倍以上あります。 この大きな干満差は、瀬戸内海特有の速い潮流を生む要因の一つです。

近くても海域が違えば別物

兵庫県の神戸(167cm)と鳥取県の境港(36cm)は、直線距離では約200kmしか離れていません。 しかし瀬戸内海側と日本海側という違いで、干満差は4.6倍違います。

同じ高知県でも、高知(203cm)・室戸岬(202cm)・土佐清水(209cm)はほぼ揃っています。 太平洋に大きく開いた海域では、地点による差が出にくいことが分かります。

自分の釣り場がどちらのタイプかを知っておくと、他の地域の釣り情報をそのまま持ち込んで失敗する、ということが減ります。

潮位差が小さい海域での潮の読み方

日本海側のように潮位差が小さい海域では、「潮位が何センチ動くか」よりも「いつ動くか」に注目したほうが実用的です。 日本海側の潮位変化は大潮の日でも最速で1時間あたり約5〜9cm(東京は約43cm)と緩やかですが、それでも動く時間帯と止まる時間帯はあります。 潮どきの潮汐グラフで傾きが急になっている時間帯を狙う、という読み方に切り替えてください。

また日本海側は日周成分(K1・O1)の比率が相対的に高いため、1日2回の満干のうち片方だけが大きくなる「日潮不等」が目立ちます。 当月の潮見表で、満潮が1回だけの日や、2回の満潮の高さが大きく違う日を確認しておくと、釣行時間の組み立てがしやすくなります。

補足:この記事の数値はすべて、潮どきが収録している海上保安庁・気象庁公表の調和定数から計算した推算値です。実際の潮位は気圧・風の影響で変動します。

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